【文スト】織田作之助の魅力を知ったら、このアニメが10倍好きになる。織田作の6つの魅力は?

太宰治がポートマフィアを抜けた理由が描かれているスピンオフ小説「文豪ストレイドッグス 太宰治と黒の時代」(アニメ版では13話〜16話)に登場した異能力者、織田作之助(通称・織田作)。織田作は感情の起伏が乏しい青年で、年齢は当時23歳。太宰とは5歳差になる。

 

好きなものは咖哩(カレー)で、少年時代、福沢との取引の交換条件に咖哩を所望するほどのカレー好きだ。織田作之助は残忍なポートマフィアに在って「何があっても絶対に人を殺さない」男。最下級構成員でありながら、五大幹部・太宰治と諜報員・坂口安吾との友人関係を築いていた

 

本編では活躍することのないものの、織田作の死は太宰がマフィアを抜け武装探偵社に入社するきっかけとなっている。かつてもっとも深いところまで太宰を理解したといえる織田作の魅力を振り返ってみる

『文スト』織田作之助の魅力1:声が魅力的!声優は諏訪部順一さん

織田作を演じるのは低音が魅力的な諏訪部順一さん織田作の男前ながらどこか天然で淡々とした雰囲気が、諏訪部さんの声色で一段と魅力的になっている。アニメ「黒の時代」は織田作の独白も多いので、諏訪部さんが演じる織田作をじっくりと聞くことができる。
太宰が不用意に敵の前に躍り出たり、安吾が危険な状態にあったりするときの緊迫した様子は、織田作が表情に乏しい分声で生き生きと表現されているのが特徴だ。また、養っていた子どもたちがジイドに爆殺(後述)されたときの織田作の慟哭は、聞いている視聴者の胸までも張り裂けそうな悲痛さをもって演じられている。今や織田作の魅力は諏訪部さん抜きでは語れない

『文スト』織田作之助の魅力2:異能力「天衣無縫」ってどんな能力?

織田作の異能力「天衣無縫」は、5秒以上6秒未満の未来を予知することができる能力だ。自身の生命が危機に瀕する場合には意図せずとも異能が発動する。そのため、大体の場合は死に繋がる行動を回避することが可能になるという、かなり強力な異能力だ。

 

ただし、すでに取り返しのつかない行動を起こしている場合は危険をいくら予知しても防ぎようがないため、決して無敵というわけではない。もちろん、5秒以上6秒未満というかなり近い未来を予知するものなので、回避行動にはスピードと判断力が求められる。織田作はそれを叶えるだけの高い身体能力を持っているのだ。

『文スト』織田作之助の魅力3:過去は凄腕の殺し屋!殺しをやめた理由とは?

少年時代には凄腕の殺し屋として名を知られていた織田作之助。強力な異能力「天衣無縫」もさることながら、身体能力の高さや依頼人に対する信用など、どれをとっても手練というに相応しい実力を持っていた。特に銃撃はどんな場所から撃っても絶対に外さないという腕前だ。過去対峙したことのある武道の達人・福沢諭吉もその実力を認めていたほどだ。

 

そんな織田作は、今は「何があっても絶対に人を殺さない」という信条を掲げ、マフィアきっての変人呼ばわりをされている。そのため腕は確かであるのに最下級構成員として溝さらいのようなことをする毎日を送っているのだ・・・。なぜ、織田作は人を殺さないのか?それは彼が、「人間を書く」職業である小説家になりたいという夢を持っていたからだ
昔、織田作之助は下巻がどうしても見つからない本に夢中になっていた。上中巻までしかなかったその本を読んでいると、ある日とある男が下巻をくれたのだ。「下巻が最悪」だという男の言葉とは裏腹に、その下巻のすべてが織田作の心を捉えた。
しかし、ひとつだけ欠点があった。登場人物の殺し屋が殺しをやめた理由を語るシーンが切り取られていたのだ。織田作は煩悶したが、最悪だと聞いた下巻を読みたいという織田作に対して「ならばお前が書け」と男は言う。そうして織田作は、殺し屋が殺しをやめるまでの一本の物語を書こうと決意するのだ
男は同時に、「小説を書く事は人間を書く事だ」と言った。小説家になるには、人間を真摯に知る必要がある。だから織田作は殺しをやめたのだ。いつか海の見える部屋で小説を書く。それが織田作の夢だった・・・。

『文スト』織田作之助の魅力4:太宰治や坂口安吾との関係

最下級構成員である織田作之助は、ポートマフィア五大幹部・太宰治や諜報員・坂口安吾と立場を超えた友人関係にあった。彼ら3人はいつもバー「ルパン」で合わせるでもなくごく自然に集まり、酒を飲み交わしていた。

 

淡々としていて天然の気がある織田作が、憂いげでありながら適当に煙に巻く突っ込みどころの多い太宰の言葉を真に受けたり聞き流したりするのを、生真面目な性格の安吾が突っ込む・・・強制されているわけでもなく、ただ酒を飲み、雑談に興じる。3人の関係は、たしかに「友人」と呼べるものであった

 

織田作は、安吾が行方不明となれば捜索に尽力し、太宰が期待をかける部下の窮地に駆けつける。普段表情に乏しい織田作も、彼らふたりを友人だと思っていたことは間違いない。
三人の友情は突如として崩れ去ることになる。ミミックとポートマフィアの対立が激化する中、坂口安吾が内務省異能特務課のエージェントであることが発覚したからだ。異能特務課は国内の異能力者を統括し、異能力犯罪を取り締まることを仕事としている。
安吾は強力な異能力者が集まるマフィアの動向を探るべく、特務課から派遣されたスパイだったのだ。政府組織の一員だと露見した以上、安吾はマフィアの人間とプライベートに関わることは許されない。
「手に入れたものはその瞬間に失われることが決まっている」という太宰の言葉通り、彼ら三人の友情は終わりを迎えた。さらに安吾は、後に太宰と織田作の別れの原因となるミミックをヨコハマに手引きした張本人だ。織田作の死によって、遣る瀬無くも太宰と安吾の溝は二度と埋まらないものになってしまった。

『文スト』織田作之助の魅力5:実は子供好き?養い子たちとの日常

 

織田作は、小説「太宰治と黒の時代」の時間軸から2年前、龍頭抗争と呼ばれる黒社会の大規模な抗争で孤児となった5人の子供たちを養っている。仕事上家に住まわせることはできなかったのか、行きつけのカレー屋に預かってもらい、養育費を負担する形をとっていた。

 

子供たちはそれぞれ元気いっぱいで、織田作が遊びに来ては悪戯を仕掛けて織田作に一泡吹かせようとしていた。織田作も表情には出さないものの子供たちのことを本当の家族のように大事にしており、悪ふざけに付き合って遊ぶのが常だった。

 

子供を養っていたのも、「小説を書く事は人間を書く事だ」という男の言葉に影響されてのことかもしれない。かつて人を殺していた織田作が、孤児を救う。そうやって織田作は変わろうとしていたのだ

『文スト』織田作之助の魅力6:強力な異能者、ジイドと激突!友人・太宰を救った最後の言葉

太宰治が18歳のとき、異国の異能力集団・ミミックによってポートマフィアは打撃を受けていた。ミミックは戦時中祖国に裏切られ、戦場を彷徨う亡霊と成り果てた集団だ。「戦場で死にたい」という彼らは、自分たちを殺すことのできる存在を求めてヨコハマへと流れ着いたのだ。

 

ミミックを率いる男・ジイドの異能力「狭き門」は織田作之助とまったく同じ未来予知だった。未来予知という異能は、同じ異能を持つ者以外攻略することは難しい。ジイドは織田作に自分と戦うよう迫るが、織田作は信条からそれを断る。

 

しかし、ジイドは織田作を自身の戦場に引きずり込むため、織田作が養っていた子どもたちを織田作の目の前で爆死させる。そのときの織田作の慟哭は悲痛そのものだ。愛する者を永遠に喪った織田作は、もう小説家になるという夢を抱くことができなくな
夢を諦めた織田作は、ミミックの本拠地にひとり乗り込み、実力の高い彼らをひとりで次々と葬っていく。とうとうジイドと一騎打ちとなった織田作は、銃弾が飛び交う中、未来予知能力のぶつかり合いによって永遠に引き伸ばされた時間の中でジイドと「対話」をし、己の過去を語りジイドの過去を知る。その空間は現実と異能力とが曖昧になった、「異能力の特異点」と呼ばれるものだった。
しかしやがてそんな空間にも終わりが訪れる。壮絶な銃撃戦の末ジイドが倒れ、織田作もまた血だまりに沈む。そこへ現れたのは、太宰だった。珍しく取り乱す太宰に、織田作は言うのだ。太宰の生きる意味は見つからない、頭の良すぎる子どもである太宰は、満たされることなく永遠に闇の中を彷徨う、と。
織田作は太宰の深いところまで理解していながら、太宰の孤独に踏み込むことはできなかった。そのことを少し後悔しながらも、織田作は太宰の「私はどうすればいい?」という言葉に対し、太宰のこれから生きる道を提示する。

 

「人を救う側になれ」「弱者を救い、孤児を守れ」「正義も悪もお前には大差ないだろうが、その方が幾分か素敵だ」。織田作は太宰にそんな言葉を遺す。死の間際、織田作の脳裏をよぎったのは、小説の下巻にあった「人は自分を救済する為に生きている。死ぬ間際にそれが分かるだろう」という言葉だ。

 

その通りだと言った織田作之助は、救われたのだろうか。少なくとも、太宰に救済の道標を残していった彼は、太宰の生き方を変えた。それは、その聡明な頭脳を人を傷つけることにしか使えなかった子どもにとっての唯一の救済だったのかもしれない

まとめ太宰の生き方に垣間見える織田作之助の姿にこれからも注目!

織田作の生き様と死によって、太宰は今、黒い本質に抗いながらも探偵社に所属し、多くの人間を救おうとしている。太宰に救われた人間のひとりが、主人公・中島敦だ。その後敦は、太宰と同じような立場にある鏡花を探偵社に迎え入れる。

 

織田作之助の死は、太宰の生き方を筆頭に、『文豪ストレイドッグス』という作品自体に横たわるテーマにも関わっているのだ。元殺し屋でありながら、人間の生を見つめようとした織田作。彼は、今後も太宰の生き方の片隅に常に存在し続けるのだろう。織田作の意思を継ぐ太宰が、今後どのような人生を歩むのかに注目だ。

 

文豪ストレイドッグス 織田作之助
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